薬の種類について
- ベンゾジアゼピン系抗不安薬について
- SSRIについて(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
パニック発作の原因は、脳の青斑核という部位にあると考えられています。青斑核には警報装置のような役割があり、通常、危険を感知すると”ノルアドレナリン”という物質を分泌して、脳内の不安に関する部位を刺激し、強い不安や恐怖を感じさせます。ところが、パニック障害になると何も危険な状態がないにもかかわらず、青斑核がノルアドレナリンを分泌してしまい、過剰なノルアドレナリンに刺激され、呼吸困難やめまい、動悸などの強いパニック発作が生じます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の主な作用は、青斑核の誤作動を改善してパニック発作を抑えることです。
パニック発作が起きなくなったものの、発作に対する不安が残り、そのために電車に乗れない、人ごみの中に行けないなどの生活に支障をきたした状態が続くことはまれではありません。脳内の神経伝達物質であるセロトニンは気分や不安、衝動、あせり、イライラなどの調整を行っています。SSRIはこのセロトニンの作用を高める働きがあり、SSRIを服用すると、徐々に薬の効果が現れ、患者さんのパニック発作に対する不安や心配、こだわりが薄れていきます。
2019年に日本で承認された新しいお薬についてはこちらで解説されていますので参考にして下さい。
くすりを服用するときの注意点
治療をはじめて1~2ヶ月の間
- SSRIの効果があらわれるまで、即効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬を一緒に服用します。 パニック障害の治療の基本はSSRIですが、SSRIは効果があらわれるまでに6~8週間かかります。そのため、即効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬を一緒に服用して、パニック発作ができるだけ起こらないようにします。
- 飲み始めに副作用が現れることがあります。 SSRIは飲みはじめに吐き気、むかつき、下痢、便秘などの消化器系の副作用があらわれることがあります。多くの場合しばらく服用を続けていると治まりますが、気になるときは医師に相談してください。また、飲みはじめに一時的に不安やイライラが強まることがあります。飲む量を調整するなどの対処方法がありますので、勝手に服用をやめずに医師に相談して下さい。
治療後しばらくたって症状が安定した頃
- 発作が起きなくなっても、自分の判断でくすりの服用をやめてはいけません。 くすりによって症状がコントロールされているだけで、くすりの服用をやめると症状が逆戻りしてしまう可能性があります。
- 突然くすりの服用をやめると、さまざまな症状があらわれることがあります。 パニック障害が完全によくなり、薬の服用をやめるときは徐々に飲む量を減らしていきます。突然、服用を中止すると、頭痛やめまいなどの症状があらわれることがあります。飲み忘れによる中断にも気をつけて下さい。
薬の精神的依存性について
即効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬は、薬をやめると不安症状は一時的に増悪します。これを退薬症状と言います。
そのため、症状が悪くなったと感じて、薬をやめることが難しい場合もあります。
漢方薬など長期間服用しても問題ないものを併用し、ある程度症状が軽減されたら減薬を開始し、最終的には断薬できるよう医師と相談しながら計画的に減薬していきましょう。
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